泣いて、笑って強くなれ
「ほら、早くすわれよ」
「あ、ああ。ごめん」
少しボーっとしていた私を陽向がせかし、私は陽向に言われたように席に着いた。
「いっただきまーすっ!」
「いただき、ます」
陽向のあとに続いて、私の自信なさげな声が静かな空間に響く。
陽向は取り皿に大盛のチャーハンをよそい、一口、口にいれた。
私はそんな陽向を凝視する。
大丈夫かな?
見た目は結構悪いし、卵の殻入っちゃってるし……
「お前、食わねぇの?」
「え、あ。食べるよ」
「お前、俺に毒味させただろ?」
「だって、不味いかもしれないし?」
「……あ、UFOっ!」
「え、嘘っ!」
私は急いで陽向が指で指した縁側のほうをみた。
だけど、そこはさっきみた縁側と何も変わらなくて。
って、まずUFOなんているはずないじゃん。
なに、子供じみた手に引っ掛かってんの私。
「……っん!」
だけど、その瞬間、私の口のなかにチャーハンが入ってきて……
陽向の方を見れば、陽向は無邪気に笑っていた。
「お前の初料理のお味は?」
「……不味い」
私が素直にそう言うと、またお腹を抱えて笑い出す陽向。
そんな、陽向を見ていたら私まで思わず笑ってしまった。
何がおかしいのか分からないけど、笑いたくなった。
チャーハンの味は最悪なのに、この味がなんだか愛しくなった。
何でだろうね______________。