泣いて、笑って強くなれ
きれいだと思った。
周囲に灯りは少ないからよく星が見える。
天の川も、夏の大三角もはっきりと見える。
田舎なんてって思ってた。
確かにケータイの電波はないし。
テレビのチャンネルも少ないし。
おしゃれなカフェもない。
だけど、この場所は私に温かかった。
確かにここには私の居場所があった。
「____優愛!」
背後から聞こえたもう聞きなれた声。
夏の夜によくその声は響いた。
「やっときたよ」
そういって振り向くと、ニカッと陽向は笑った。
その笑顔に私の心は温かくなる。
「行こうぜ。こんな田舎だから規模は小さいけれど結構楽しいから」
そういって、陽向はなんの躊躇もなく私の手首をつかんだ。
ドキッとなった私の心臓。
……だけどこれはもしや……。
「走るぞ!」
「……え?」
私の予想通り陽向は私の手首をつかんだまま勢いよく駆け出した。
夏の夜風が私の頬を撫でる。
よかった。
今日はヒールなんて履いてこなくて。
走っても走っても空気が気持ちよかった。
___『優愛。お前は俺が守るから』
「……っ!」
ふと脳裏によぎった声。