泣いて、笑って強くなれ
そういえば昔ももうやって2人でこの道を走った。
そしてこうやって私の手を陽向が引いてくれた。
リンクする。
鼓動と息が。
夜道をかける足音が。
頬を伝う風が。
あのときと。
確かに私はあのときもこうして走ってた。
こうして私のてを陽向が引いてくれたんだ。
「あ、あの陽向「……っし!!つーいたっ!」
私が陽向にその事を聞こうとしたとき、丁度陽向の足が止まった。
あまりに急に止まるもんだから、思わず陽向の背中に顔面からぶつけてしまう。
「……っいったぁ!急に止まんないでよ!」
私が打ち付けた鼻をさすりながら、そう陽向の背中に言葉をぶつけると、陽向は急に私の方を振り向く。
「おお、わりわり。ほらほら、行くぞ」
そう、まるで子供をあやすかのように私の頭を撫でると再び陽向は私のてをぎゅっとにぎり、ゆっくりと歩き出した。
なんだか、子供扱いされたみたいで少しそっぽを向いてしまう私。
だけど、そんな私をよそに、陽向は私のてを引いた。
回りには赤いちょうちん。
出店で声を張り上げるおじさんや、おばさんたち。
そんな声に誘われて、笑顔で彼らに話しかける人々。
出店の出ている数は少ないけれど皆楽しそうだった。
子供が走り回る。
老夫婦が笑顔で会釈をしながらわたしたちの隣を通りすぎる。
子供の一人が「陽向ー!」何て言いながら陽向にてをふり、陽向は笑顔でてをふり返す。
なんだかそんな光景が私にはとても暖かく思えて、
だけど、正直いうと、羨ましくて堪らなかった。
陽向と私じゃあすんでる世界が違うんだ。
そう思い知らされた気がした。