泣いて、笑って強くなれ
「今日は……いい天気だねぇ」
ばあちゃんが、窓のそとを見て目を細める。
「そうだね。もう9月なのに残暑が今年は厳しいね」
「そうかい。もう、9月になるのかい。時間って言うものは早いものだねぇ」
「うん、そうだね」
私は、ばあちゃんのベッドの横にたって、窓のそとを一緒になってみた。
そこから見えるのは青空だった。
本当に今日は天気がいい。
こんなときは、そとに出たい気分になる。
きっと、ベッドの上から見上げる青空はさぞ、虚しいに違いない。
見えるのに、すぐそこにあるのに、触れられないほど虚しいものはないと思う。
「ねぇ、ばあちゃん」
「……なんだい?」
「外、いこうか________」
私はそういって、ばあちゃんに優しく笑いかけた。
「……まさか、もう一度この空のしたに出れるとは思いもしなかったよ」
数時間後、私は陽向を急遽呼び寄せて、居間の縁側までばあちゃんの寝ているベットを運び、そっと、そのベットをそこから外へと出した。
熱中症などにかからないように、私と陽向は日傘を用意して、直射日光からばあちゃんを守る。
「ばあちゃん、久々に顔色いいじゃねぇか」
陽向は日傘を持ったまま、ニヒヒと笑う。
その笑いにつられたのか、ばあちゃんは優しく微笑んだ。
「陽向くん」
ばあちゃんが陽向の名前を呼ぶ。
陽向は、ん?っと首を少し傾げた。
「人間、笑えるということは泣ける証だからねぇ……」
そういって、ばあちゃんはにっこりと笑う。
「ああ、そうだな。わかってるよ、ばあちゃん」
陽向は、そういって、いつものように優しく笑った。
「優愛ちゃん」
次は私の名前を呼ぶばあちゃん。
次は私かと思って、陽向と同じようにん?っと首を少し傾げた。
「思い出そうとしなくていい。優愛ちゃんは優愛ちゃんらしく、笑っててね。
ばあちゃん、ちゃんと見守ってるからね」