泣いて、笑って強くなれ


「お母さん」

「ん、?」

「本当にこの子だった?」


私はそういって、生徒手帳に乗っている写真をお母さんに見せる。


「ええ。そうよ。
でも、実際の方が綺麗ね」


そういって、うふふと笑ったお母さん。

佐伯さんは紗英や里咲が言うほどブスじゃない。

どっちかと言うと、綺麗な女の人ってかんじ。

悪いが、紗英や里咲よりも佐伯さんの方が断然綺麗だ。

高飛車に見られ勝ちだから、多分あの二人の標的になっちゃったんだと思う。

きっと、男子からしたら、佐伯さんは高嶺の花ってとこだろうか。


「お母さん、何か話したの?」

「んー、ただ一言、いって帰っていったわよ」

「なんていってたの?」

「”ありがとうっていっておいてください”って。

あなた、何かしたの?」


……。

ちょっと待ってよ。

私が聞きたいんだけど。

一体、どういうこと!?

本当に、ワケわかんないんだけど__________。













元気になった私は次の日からまた学校にいくことにした。

今日は幸いにもなにも夢などは見なかった。

きっと、それほどぐっすり寝ていたのだろうか。

まぁ、そんなことは今はどうでもいい。

今重要なことは、こっちのほうだ。

私は電車に揺られながら佐伯さんの生徒手帳を見つめた。

どうやって返そうかな。

もし、紗英たちに返しているところを見られでもしたらあとからがめんどくさい。

誰もいないところに呼び出すか。

私は電車のなかで小さなメモ用紙に急いで文字を綴った。


”放課後の5時、屋上に来てください。話したいことがあります

鮎沢 優愛”


私は学校につくとそのメモを、佐伯さんの下駄箱の中にいれた。

よし。

これでいい。

5時になったら、大体のやつらは帰宅している。

今日は委員会もないし、紗英たちにはまた適当に理由をいって、時間になるまで今日は教室で勉強でもしていればいい_____________。































< 38 / 115 >

この作品をシェア

pagetop