泣いて、笑って強くなれ


このままじゃ、私はきっとあの時を繰り返してしまう。


_____『優愛ってさ、まじ正義感ありすぎてウザい』

_____『優愛さ、マジ乗り悪いし、ダルいわ』


だめだ。

それだけはだめだ。


「優愛も、そう思うでしょ?」


そこへ、追い討ちをかけるように里咲が私に質問してくる。

_____うん、マジウザいよね。


この一言、言えればいいんだ。

それを言うだけでこの人たちは満足するんだ。

だけど、だけど……っ!


_____『昔のお前はどこにいったんだ?

優愛』


どこにもいってないよ。

私はここにいるよ。

ただね、”昔の私”が生きるには少し難しい世界だったってことだよ。


_____『……私はあなたにひどいことをされた覚えはありません』


佐伯さんは、そういってたけど、そんなはずないよね。

そんなはずないんだよ。

誰だって、悪口を言われたら心に傷がつくに決まってる。

きっと、あまりに傷つきすぎて固くなっちゃったんだね。

厚い厚いかさぶたになっちゃったんだよね。

ごめんね、佐伯さん。

そんなかさぶたを作らせちゃってごめんね。


_____『人は強くなりなさいとかよく言います。あなたにとっての強さは私ですか?』


強さってなんだろうね。

私もね、最近わかんなくなっちゃってるんだ。

なんでだろう。

いつのまに世界はこんなにも息苦しいものになってしまったんだろう。

昔はもっとこう、自由だったはずなのに。


「私は嫌だよ、こんなの」


もう限界なんだって叫んでいるのが分かる。


「こんなの、間違ってる」


そうだよ。

こんな世界は間違っている。

誰だって自由なんだ。

本当は、この世界は自由で、こんな狭い教室に縛られる私たちはとても可哀想だ。


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