泣いて、笑って強くなれ
玄関の扉が開く音がする。
渚ママはきっと今は夕食の買い出し中で家にはいない。
早く取れ戻さないと。
頭ではわかってた。
わかっていたけど体が動かなかった。
渚に会ってどうするの?
なんていえばいいの?
ごめん、いいすぎた。っていえばいいの?
いいやちがう。
告白するのやめよう。っていえばいいの?
なんかそれもちがう。
恋愛なんてしたことのない私に渚の気持ちなんてわかりっこない。
わかれというのが難しい。
とりあえず、外に出で見ようか。
何かわかるかもしれない。
何か思いつくかもしれない。
私はそう考えて、ゆっくりと渚の家を出た。
空にはきれいな星空が広がる。
だけど、やっぱりあの場所で、陽向のいるあの空間で見た夜空のほうが何倍もきれいだ。
この街には余計なものが多すぎて、星の光をじゃましてしまうから。
「____優愛……ちゃん?」
「……っ!?」
背後から声がして誰かと思って振り返ると、今あってはいけないランキングNO.1の人物がそこにはいた。
「いつ振りだっけ?えーっと、俺が優愛ちゃんに振られて以来!?」
そういって、相川先輩は普通に笑う。
そんなさらりと自分が振られたこというんだー。
まあ、前から変わった人だとは思っていたけど。
「……部活の、帰りですか?」
私は先輩が担いでいるエナメルをみてそういうと、先輩はニコッと笑って「そうだよ」という。