泣いて、笑って強くなれ


「あんた、頭はいいみたいね」


そういって、その女の子はふっと鼻で笑った。


「あんた、いじめられてるんでしょ?何でかはわかんないけど」

「あなたも、でしょ?」

「まあね。もう、慣れちゃったけど」


そういって、なぜか笑ったその女の子。


「何で、笑えるの?」

「ふふ、おかしなことを聞く子だね。あんた」

「……別に……。思ったこと聞いただけで」

「……ある人が言ったんだ。私に。

人間は笑って、そして、泣いて成長していくんだって。人間しかそれはできないんだって。私、最近まであんたみたいに泣いてばっかりだったから、今は笑っとこうと思って」

「楽しくないのに、笑うの?」

「私はね、楽しいから笑うんじゃなくて、笑うから楽しいって考えてるからね。あんたもさ、つらいことあったら笑えばいいよ。

後ね、先輩からアドバイス。周りなんて気にすることないよ。

あんたはあんたなんだから」


そういって、ニカっと笑ったその子はゆっくりと立ち上がった。


「じゃ、私、そろそろ行くわ」


そういって、私に背を向けて、立ち去ろうとする女の子。


「え、ちょっとまって。名前教えてっ!」


私はそう言って叫んだけど、その女の子はその質問に答えることなく、その公園を出て行ってしまった。

その日から、私は変わった。

いいや、変わろうとした。

あの女の子のように凛とたくましく生きたいと思った。

きっと、あの人は何かをもって生きている。

何かはよくわからないけれど、心の中に何か譲れないものを持ってるんだと思った。

私はまだそれが見つけられていなかった。

だけど、

< 69 / 115 >

この作品をシェア

pagetop