泣いて、笑って強くなれ
「あんた、頭はいいみたいね」
そういって、その女の子はふっと鼻で笑った。
「あんた、いじめられてるんでしょ?何でかはわかんないけど」
「あなたも、でしょ?」
「まあね。もう、慣れちゃったけど」
そういって、なぜか笑ったその女の子。
「何で、笑えるの?」
「ふふ、おかしなことを聞く子だね。あんた」
「……別に……。思ったこと聞いただけで」
「……ある人が言ったんだ。私に。
人間は笑って、そして、泣いて成長していくんだって。人間しかそれはできないんだって。私、最近まであんたみたいに泣いてばっかりだったから、今は笑っとこうと思って」
「楽しくないのに、笑うの?」
「私はね、楽しいから笑うんじゃなくて、笑うから楽しいって考えてるからね。あんたもさ、つらいことあったら笑えばいいよ。
後ね、先輩からアドバイス。周りなんて気にすることないよ。
あんたはあんたなんだから」
そういって、ニカっと笑ったその子はゆっくりと立ち上がった。
「じゃ、私、そろそろ行くわ」
そういって、私に背を向けて、立ち去ろうとする女の子。
「え、ちょっとまって。名前教えてっ!」
私はそう言って叫んだけど、その女の子はその質問に答えることなく、その公園を出て行ってしまった。
その日から、私は変わった。
いいや、変わろうとした。
あの女の子のように凛とたくましく生きたいと思った。
きっと、あの人は何かをもって生きている。
何かはよくわからないけれど、心の中に何か譲れないものを持ってるんだと思った。
私はまだそれが見つけられていなかった。
だけど、