泣いて、笑って強くなれ
マジで暑い。
都会とかだったら、カフェとかで休憩しながら目的にまでいくのにさ。
周りはもう田んぼしかないし。
だから嫌だったんだよ。
田舎って。
絶対ケータイも繋がりにくいよこれ。
今頃、きっと紗英は彼氏と涼しいところで遊んでるんだろう。
里咲はオシャレな外国の店でお土産とかあさってるんだろう。
それにくらべて私は一体何してるんだろう。
何が懐かしむだ。
田んぼと海しかないじゃん。
これなら、私の記憶が曖昧なのも納得。
あーあ。
早くこんな夏休み、終わってしまえばいいのに。
とまあ、こんなぐだぐだいろんなことを考えているうちに、ばあちゃんの家についてしまった私。
えっと……。
チャイムなんてものはないから。
とりあえず、戸をたたけばいいの?
私はキャリーを持っていないほうの手で3回ほど木で出来た玄関の扉をたたいた。
だけど、全く応答はなくて。
あれ?
私は昔どうやって、この扉を開いてたんだ?
そんな遠い記憶全く覚えてないし。
んー。
もしかして、扉の鍵閉まってないとか?
いや、いくら田舎だからって、そんなことは……
私は恐る恐る扉に手をかけてみると
____ガラガラガラ……
ああ、開いちゃった。
そうか。
田舎はこんなに無用心なのか。
ああ、失礼。
平和ってことなのね。
「おじゃましまーす」