泣いて、笑って強くなれ

私はそういって悠里に一歩近づいた。


「私こそ、ごめんね？」


私がそういうと悠里はゆっくりとその泣き話した目で私を見る。


「私の記憶から、悠里を消してしまって……ごめんっ！」


自然と涙がほほを伝った。

どんな感情からこの涙が流れたかはよく私にもわからない。

ただただ流れた。

どうやったら止まるのかもわからなかった。


「いいの……っ！そんなことくらい、優愛の苦しみに比べればなんともないもん」


そういって、悠里は涙を流しながら、ゆっくりと口角を上げて笑った。

何で私はこんな大切な人のことを忘れていたのだろう。

何で私は……っ！


「優愛」


悠里が優しく私の名前を呼んだ。


「陽向と……会ってあげてね」


そういって、悠里は「じゃ」といって、どこかに行ってしまった。

なにか急ぎのようでもあったのだろうか。


「……優愛」


渚の心配そうな声が聞こえる。


「ん？」

「……よかったね」

「……うん」


渚のその『よかったね』が何を示していたのか。

それはきっと、私と悠里の仲が戻ったことじゃない。

多分、私が陽向と会うことを許されたから_______________。