妖怪談
家出
『ハァ、、ハァ、ハァッ、、、』
胸が苦しい。足が痛い。もう、止まってしまいたい。
木々の間から差す木漏れ日も、違う世界に生まれていたならもっと綺麗に見えていたんだろうか。
『ッ!!』
馬鹿。そんなこと考えてる暇ない。今は逃げなきゃ。逃げなくちゃ。
、、、、、何から?


『うわっ!!』
目を開けるとそこは自分の部屋だった。
全身気持ちの悪い汗をかいている。
『夢…か。……なんで…』
なんで急に昔の夢なんか見たんだろう。
別に今の生活に不満があるわけでもないし、昔に未練があるわけでもない。

もしかして、妖怪がらみ…?

『んなわけないか。』
考えていても仕方が無い。居候のみとしてできる限りのことはしなくては。
私は布団を畳むと部屋をでた。

部屋を出ると、小さな天窓から明るい日差しが差していた。
今日から4月。
地元の高校では2年生になる。
新しい季節に自然と顔がゆるむ。この様子だとしばらくすれば夢のこともわすれるだろう。
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