揺れる、黒。
揺れる、黒。
校舎の最上階東端にあるこの小教室は、
いつも外界から隔絶されたように静かだった。
写真部の部室として使われているこの教室で、僕はいつも、北原さんを待っている。
北原さんが現れるのはいつも五時半だ。
だけど僕は、いつも五時に部室に来て彼女を待っている。
とくに理由はなく、それが日課みたいになってしまっているから、そうしているだけなんだけど。
北原さんというその子は、クラスの人気者だ。
地味で目立たない僕とは違い、元気で明るく、誰からも好かれる。そんな子だ。
何を撮るでもなくカメラをいじっていると、ガチャ、と音がしてドアが開く。
時計を見ると五時半だった。
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