揺れる、黒。



「小出くん、おはよー」



明るい笑顔で言って入ってきた北原さんに、僕も「おはよう」と返した。



おはよう、という時間帯でもないけど、僕らはいつも「おはよう」と言う。


それは、部活の時間が一日のうちで僕と彼女が初めて話す時間だからだ。


クラスは同じでも、部活の時間まで、僕と彼女が話をすることは、あまりない。



北原さんは僕の向かいの席に腰掛けた。



「小出くん、今日は何を撮るの?」



明るい笑顔を浮かべて、北原さんが言った。



「うーん、何撮ろうかな」



「決めてないの?」



「うん。ネタ切れ」



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