揺れる、黒。
「北原さん、」
呼びかけると、北原さんは僕を見た。
北原さんの短い髪が揺れる。
「なに?」
「テスト、どうだった」
「えー、とね……まあ、普通だよ」
「普通って?」
「え、それ訊いちゃう? ……国語以外は平均以下ですが、何か」
あ、ご愁傷様です。と、僕はふざけて言ってみる。
北原さんは怒ったような顔を作ってみせて、それから「小出くんは?」と尋ねた。
「……えっと、」
「おや? 小出くん、どうしたのかなその反応は?」
僕の成績が悪かったのだと思ってニヤニヤする北原さんだけど、実は真逆だ。
全科目八十点以上はある。