揺れる、黒。
「……クラスで三位でした」
白状すると、北原さんは驚いたような顔をした。
「すごい! 小出くんって実は頭良い人だったんだ!」
「え、実はってどういう意味」
「わたしね、小出くんは平均くらいだと思ってたの! いかにも平均って感じだから」
「北原さんって、たまにひどいね」
そんな失礼なことをさらりと言ってしまう北原さんだけど、怒りは湧いてこないから不思議だ。
それが北原さんが人気者である所以なのだろう。
そうやって、僕たちは夕暮れまでくだらない話していた。
やがて、空に朱が差してきた頃。