極甘上司に愛されてます


廊下の真ん中でひと悶着(?)を終えた後、私たちは編集部に戻って、編集長が調達してきてくれた朝ごはんを食べた。

ピタパンの中に、オーロラソースのかかったたっぷりの野菜と鶏肉が挟まったサンドイッチ。
近所のパン屋さんで買ってきたというそれはとても美味しくて、朝からガッツリ完食してしまった。


「……今日はどうしようかなぁ」


お腹が満たされると、何気なく席を立ち、オフィスの窓から見える青空を眺めてそう呟いた私。

ゆうべ見たことへのショックは、今は薄らいでいる。

きっと会社という場所にいて、かつ一人きりでもないからだろう。

だからといって、ずっとここにいるわけにもいかないし、いい加減シャワーも浴びたいから、家に帰るしかないんだけど……


「……遊園地でも行くか」

「え?」



ゆうえんち……って突拍子もない単語が聞こえたけど、空耳?

振り返ると、私の入れたコーヒーを飲んでいた編集長が、こちらを見て微笑んでいる。


「一回家帰って、そしたらまた待ち合わせよう。今から準備すれば、昼ごろには着くだろ」

「……ええと。それは、どういう……」

「……独りでいたくないんだろ?」


……その通り、です、けど。

今日も一緒に居てもらうなんてさすがに編集長に甘えすぎだし、だいいちなんで遊園地……


「早く行くのか行かないのか決めろ。……もしお前が行かなくても、俺は一人で行く」

「編集長が、一人で遊園地……」


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