極甘上司に愛されてます
「……お前はそのままでいいと俺は思う。またなんかやらかしたら、そん時はそん時だ。俺がフォローする」
「で、でもそれじゃ編集長に迷惑が……!」
「たとえばお前が今日、本当に恋人と別れたとして……それで本当に、仕事がうまく回るのか?」
今までと打って変わって、厳しい口調になった彼。
仕事中も基本は温厚だけれど怒ることももちろんあって、その時のことを思い出したらしい体が、一瞬強張る。
「それは、もちろん……」
……本当に、そうだろうか。
逆に落ち込んだり、無気力になったり、泣きたくなったり……そうなる可能性だって、あるんじゃない?
「……がんばり、ます」
だとしても、それしかない。この期に及んで泣いてる場合じゃないでしょう。
「……無理しても続かねぇぞ?」
「だって……ならどうしたら……!」
焦ったように言って編集長の顔を見上げると、彼はのんびりとした様子で「雨やんだな」と呟く。
雲間からのぞいた星が綺麗で、それを見た私の焦りも少しは鎮まったところで編集長は言った。
「……上司が甘えろって言ってんだからそれに従え。お前はいい記事を書いてるんだから、小さいミスばっか気にしてないでもっと自信を持てよ」
「編集長……」