極甘上司に愛されてます
「お前、その顔……12分じゃどうにもならないことまでしたくなるだろうが」
「……え……?」
息を荒げたまま彼を見上げると、頭を引き寄せられて彼の胸にぴたっと抱き締められた。
彼の心音が聞こえる……すごく、ドキドキしてる。
大人なのに、私と一緒。
そのことに安心して、愛しさが増す。
「……お前はいつでもお前らしくいればいいし、つらいときは遠慮なく言え。抱えてるもの、半分持ってやるから」
「……すごく……重いものでも?」
「何かあるのか? 今」
「いえ、ないです……今は、どっちかというと。嬉しくて、ふわふわしてるっていうか……」
「……俺もだ」
編集長の胸にくっつけていた顔を上げると、悪戯っぽく笑った彼と目が合い、またキスの雨が降り注ぐ。
それから観覧車が一周する間ずっと、私たちはキスをして、抱き合って、笑い合った。
現実逃避のために訪れた場所で、現実だって悪くないって、教えてくれて。
私の迷いも不安も、大きなカラダとココロですっぽり包み込んでくれる人。
……今度は、この恋を、愛しい人を、失うことになんてなりませんように。
キスの合間、編集長の肩越しに見えた星空に向かって、私はそう祈っていた。