極甘上司に愛されてます

「――ちゃんと乗ったな？」

「は、はい……ホントに安全なんですかコレ。振り落とされた場合、絶対致命傷ですよね……？」


結局流されるままバイクの後ろに乗せられてしまった私は、ハンドルを握ってこちらを振り向く編集長に言う。


「死にたくなかったらちゃんと掴まれ。じゃあ行くぞ」

「えっ！　ま、まだ心の準備――――きゃあっ！」


私の返事を待たずにブオオン、と音を立てて走り出してしまったバイク。

見慣れた駅前の景色が後ろに飛んでく……！
速い！　怖い！

しかも命綱は編集長のお腹に回した自分の腕だけ。
そう思うと、彼の広い背中に必死にしがみつくしかなかった。


「気ぃ失ってねーか？」


エンジン音に負けないよう、大きな声で叫ぶように言う編集長。


「だ、大丈夫ですけど！　今のトコは……っ！」

「よし。じゃあもうちょいスピード上げてくか！」

「え、えええっ!?」