極甘上司に愛されてます
「……やっぱり、おかしいですよねあの人」
「見た目カッコいいけど、ちょっとね」
「編集長ばっかり怒られてて、なんか可哀想だったよねー」
「見た目カッコいいけど、ひどいよね」
私語禁止令はどこへやら……あっという間に、専務の悪口大会が始まってしまった。
……なぜかちょくちょく見た目カッコイイ発言も挟まれるけど。
その様子に苦笑した理恵さんは、彼女たちにこう言った。
「その辺にしといたほうがいいわよ。あの極端な人のことだから、私たちを見張るために盗聴器とか仕掛けてるかもしれない」
「……あ、あり得る」
まぁ実際にはやらないと思うけど、もし後々そういうのが発見されても、不思議はないというか。
急に黙った同僚たちは、“続きは外で”という風に目配せをし合って、次々にバッグを持って立ち上がる。
「じゃあ私たちも行きましょう」
「はい、お供します」
普段から何かと声を掛けてくれる理恵さんだけれど、部署が違うから一緒にランチをするのは、実は初めて。
勝手に彼女にあこがれを抱いている身としては、ちょっと嬉しい誘いだな。
ほくほくしながら理恵さんの後に続き、会社を後にした。