極甘上司に愛されてます
「じゃあ、一着だけ……」
「よし。……携帯でも撮って編集長に送ってやろ」
なんだか楽しそうな佐藤さんだけれど、今の発言って……もしや……
「あの、佐藤さん、どうして編集長に……?」
「そりゃ今日一緒に来れなかったことに同情してだよ。飯沼に聞いたんだ、きみらがとうとうくっついたって」
い、飯沼って、理恵さんか……!
口軽いんだからも~!
しかも“とうとう”くっついたって、理恵さんが言っていたように、編集長の私に対する好意を、佐藤さんも薄々感じてたってこと……?
「……あの編集長が、逆さま写真見逃すくらいだもんな。相当愛されてるよ北見さん」
「逆さま写真……? いや、あれは私の不注意で……」
「だとしても、それを上が見落とさなければいい話だ。というか普通は気づくよあんな堂々としたミス。たぶんだけど、彼氏のいる北見さんに片想いしてるの、結構つらかったんじゃないかなぁ。それで上の空だったとか」
「ま、まさか……」
……そんなわけないでしょ。と思いつつも、ちょっと口元がにやけてしまいそうな自分がいる。
人のミスを喜ぶなんて、あまりほめられたものではないけれど……編集長はあまり悩んでいる姿とか見せないから、そういう話を聞くと、少し安心する。
私にわからないようにしているだけで、今回の専務の件も彼なりに悩んでいるのかもしれないって。