極甘上司に愛されてます
「何って……決まっているでしょう? 私とあなたの間にある“確かな愛”のことよ」
「ちょっと待て。……誤解を招くような言い方――」
編集長の制止を無視して、彼女は私に微笑みかけてきた。
“確かな愛”って何……?
編集長と彼女は、どんな関係だと言うの……?
「私ね……」
どくんどくんと耳の奥に響く自分の心臓の音を聞きながら、息を呑んで次の言葉を待っていると……
彼女は急に優しげな顔つきになり、そっと自分のお腹に手を当てる。
「――妊娠しているのよ、彼の子供を」
「え……?」
う……うそだ……絶対に、うそ……
私にショックを与えるために作った、突拍子もない嘘なんでしょ……?
そう思っても、呆然としてしまって口から何も言葉が出てこない私に編集長が近づいてきて、そっと肩を抱く。
「……そんなことあるはずないだろ。北見……俺を信じろ」
「編集長……」
そう、だよね……
だいいち目の前の彼女は痩せているもの。妊娠なんて真っ赤なウソに決まってる。
「……嘘だと思ってるんでしょう? いいわ、これを見せてあげる」
肩から下げているブランドもののバッグに手を入れて、彼女が取り出したのは小さな手帳。
優しい黄色をしたその手帳がなんなのか、妊娠の経験がない私にでもなんとなくわかった。