極甘上司に愛されてます
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「……お。亜子ちゃんが久しぶりに上の空」
お昼休み終了五分前。
どこかで食事を済ませてきたらしい理恵さんが、私のそばを通りかかると呑気に言った。
「り、理恵さぁん……!」
椅子から立ち上がり、がばっと彼女にすがりつくと、若干迷惑そうな顔をした理恵さんが聞く。
「どうしたのよ、この世の終わりみたいな顔して」
「……専務にばれました」
「え?」
「編集長とのこと、専務にばれちゃいました……」
理恵さんは目を丸くして驚き、編集長のデスクが空席になっているのを見やると、私に耳打ちする。
「もしかして……今、編集長がいないのって?」
「はい……彼だけ専務室に呼ばれて……たぶん、色々怒られてるんじゃないかと」
「あらまぁ……それはなんというか」
ドライな理恵さんでもさすがに気の毒そうな表情を浮かべ、私の頭をぽんぽんと撫でる。
ああ……このままでは優しい理恵さんに惚れてしまう。
もし専務に編集長との仲を引き裂かれたら、この際アブノーマルな世界に足を踏み入れてみる?
……って、理恵さんそもそも人妻だからダメか。
うう、なんか思考が後ろ向きなうえディープになってるよ、今の私。