極甘上司に愛されてます
そのまま理恵さんに慰めてもらっていると、オフィスの扉が開いて、噂の彼が戻ってきた。
私も理恵さんもパッと彼の方を向き、近づいてくる彼の口からどんな言葉が出るのかをハラハラしながら待っていると。
「――とりあえず、お咎めナシだ」
難局をしのいだような安堵の表情でひとことそう言うと、私たちのそばを通り過ぎて自分のデスクの方へ戻る編集長。
「……あら。どういう風の吹き回しかしら」
そんな理恵さんの呟きは、私の心境と全く同じ。
だってあの現場を見たときの専務は、私たちにどんな罰を与えようかと考えているようにしか見えなかった。
……それはもう楽しそうに。
それなのにお咎めナシだなんて、何か裏があるように思えて、素直に喜べないけど……
「まぁよかったじゃない。強制的に別れさせられたりせず済んで」
「……そうですね」
腑に落ちないとは思うけれど、ちょうどお昼休みも終わり。
私は気持ちを切り替えて仕事に戻り、午後の業務は普段通り落ち着いて取り組むことができた。