極甘上司に愛されてます
「……留美さんに、やってもらったんです」
「アイツの店に行ったのか。……へぇ、さすが留美だな。お前によく似合ってる」
……“お前によく似合ってる”より、“さすが留美”の方が評価が高いように感じるのは、私が卑屈になってるせい?
どんどんマイナス思考に陥って行く私が思わず彼の手をやんわり解くと、上からため息が降ってくるのが分かって、さらに凹んだ。
「亜子」
「なんですか……? 私、メンドクサイですよね、すいません……」
「……んなこと言ってねぇだろ」
そう耳元で優しく囁かれ、後ろからぎゅっと抱き締められた。
「留美に妬いてんのか?」
「……そんなレベルじゃないです。留美さんと同じ土俵に上がれる女じゃないですもん、私……」
「出たな? お前の悪い癖」
「だ、だって……」
いいわけをしようとすると、彼の腕の中でくるりと体を反転させられて、瞳を覗きこまれる。
そして、言い聞かせるような口調で、彼がこう言った。
「……俺は間違いなく亜子のものだ。言っとくけど俺の方が先に落ちてるんだからな?」
「先に……って。そういえば、編集長はいつから私を……?」
「気になったのは、お前が会社に入ってきて結構早い段階だったけど……決定的だったのはアレだろうな。お前に間違えて呼び出された時」
それって……渡部くんに送ったはずのメールが編集長に渡っていた、あの時?
あのタイミングで私に惹かれるって、全然理解できないけど……