極甘上司に愛されてます
たくさんのキスと、私の肌の上を滑る彼の手によって、いつしか緊張は解けていた。
小さなベッドがぎしりと軋み、彼の体の重みを受け止める。
そうして私たちが重なり合った頃、いっそう強くなってきた雨が、絶え間なく窓に打ち付けていた。
その激しい音に包まれながら彼を感じていると、まるで世界に彼と私だけになってしまったかのような気分になる。
触れている肌のぬくもりと、彼がくれる甘い痛みだけに支配された、愛しい時間。
――それが終わりに近づいて、彼の表情から余裕が薄れるのが分かると、私の口は勝手に動いて、掠れた声が、喉の奥から押し出された。
「透、吾――――」
……そっか。
自然と言いたくなるって、こういうことだったんだね。
胸に愛しさが溢れて、ぎゅっと抱きついてもそれじゃ足りなくて。
“愛してる”なんて言葉がさらりと出てくるほど大人じゃないから、あなたの名前を呼んで。
それから……
「…………すき」
内緒話のように、彼の耳に唇を寄せて呟くと、力をなくしてぐったりしていたはずの彼がむくっと身を起こして、私に短いキスをする。
「……ああ、俺も」
きゅう、と心臓が縮んで、つま先から頭のてっぺんまで、幸せな気持ちで満たされる。
これって、きっと。専務の言う、“本物の愛”ってやつなんじゃないかな……?
降り止まない雨の音と、あたたかい腕に抱かれたその夜。
私はふわふわとした思考の中、そんなことを思っていた。