極甘上司に愛されてます





「……あのサンタさん、信じていいのかな……」


半信半疑で受け取った手書きの地図を頼りに、私はとぼとぼ夜道を歩いていた。

キャサリンらしき猫は見失う直前まであの場にいたのに、この地図によると、さっきいた場所から猫マークまでは結構遠かった。

わけがわからないけれど、サンタさんが『私を信じなさい』としきりに言うものだから、とりあえず言う通りにしてみているけど。


「てか、疲れた……」


たぶん、普通ならバスとか使うであろう距離なのに、縮尺もイマイチ適当なこの地図ではそれがわからなくて、さっきから結構歩かされている。

でも、たぶんあと一息だよね……

ふう、と白い息を吐きだして辺りを見回すと、そこは見覚えのある景色。

夜だからちょっと前に見た印象と違うけど、このお城みたいな建物……いつか編集長と取材に来た、結婚式場だ。

……って、キャサリンちゃんココにいるの?

地図を開きなおして、猫マークを確認する。

周りの道の感じからも、どうやらここにいる――ってことみたい。

そして、猫の頭上に描かれているのは、十字架。

つまり、チャペルにいるってこと……?

勝手に入っていいものか……と思いながらも、敷地の奥に位置する教会の建物に近付いて行く。


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