極甘上司に愛されてます
なっ……! なんて恥ずかしいことを~!
顔から火が出そうになってうつむきつつ、けれど“ディナー”の一言に「あれ?」と思って彼に尋ねる。
「あの……フレンチのお店は?」
「ああ、それなら今頃、飯沼夫妻が美味いメシ食ってるだろう」
「り、理恵さん……?」
そういえば、旦那さんとデート、とは言っていたけど……
「飯沼と、あと佐藤とは、年が近いからたまに屋上で他愛のねぇ話をするんだけど……クリスマスに指輪を渡そうと思ってるって言ったら、アイツらなんか妙に盛り上がってな」
――編集長の話によると、今日の計画はほぼその二人が立てたらしい。
どうせやるならロマンチックな場所で、とダメもとでこの式場に連絡してみたところ……
イブとはいえ平日の今日、夜に式を挙げるカップルは偶然おらず、しかもここの取材に来た私と編集長の運命がかかってるとあれば、是非協力したいと言ってくれたそうだ。
きっと、さっき扉を開けたり閉めたりしたのは、式場の人だったんだろう。
「――あ。もしかして、あの怪しいサンタクロースって」
退社前に、サンタの衣装をカバンに詰める彼の姿を思い返す。
“子供にばれないように~”なんて言っていたけど、あの衣装の本当の目的は……
「ああ、あれは佐藤だ。あの猫も、佐藤ん家の猫。本物のキャサリンを借りてくるわけにはいかないからな。お前が見失った時には、佐藤の持ってる袋の中で丸くなってたはずだ」
「そういうことだったんですか……」
……姿が見えないわけだよ。
っていうかあの猫、キャサリンですらなかったなんて。
すべてを知った後では、あっさり騙された自分がちょっと悔しい。