極甘上司に愛されてます
編集長の忠告、素直に聞くべきだったんだ……!
どうしよう、このままじゃ私、手籠めにされてしまう~!
様子のおかしい私と先生の様子に影響されたのか、黒猫が庭に面した窓を爪でかりかりと引っ掻いている。
お願い猫ちゃん、助けを呼んで……!って言っても無理か……。
猫の手も借りたいとはこのことだ……と先生と揉みあいながら妙に納得していると、急に外からまぶしい光が入ってきて、一瞬目が眩んだ。
「なんだ……?」
先生の方も驚いたらしく、私の手を反射的に離すと、目を細めながら光の出所である庭の方を見つめた。
すると外から勢いよく窓が開けられて、聞いたことのある声がこう叫ぶ。
「――見つけたぞ! キャサリン!」
片手に懐中電灯、それから反対の手にペットを運ぶケージを手にして立っていたのは、今朝会社の前で別れたはずの私の上司。
「へ、編集長……?」
なんで、ここに……
呆気にとられる私に構わず、靴を脱いでずかずかと上がってきた編集長は、小林先生に詰め寄って言う。
「勝手に上がって申し訳ない。でもあの猫、先生のペットじゃないですよね?」
「あ、ああ……数日前からうちに入り浸るようになったんだ。可愛いから特に追い出したりもしなかったが……」
かなり動揺しながらも、先生は編集長の質問に答える。