極甘上司に愛されてます
あっという間に日の暮れた田舎道で、私は編集長と並んでバスを待つ。
時刻表によるとバスはちょうど行ってしまったばかりで、次のバスまであと二十分待たなければいけないようだけど、話を聞きたかったからちょうどいい。
「編集長……どうしてあの家の庭なんかに」
「……見りゃわかるだろ、キャサリン探しだ」
編集長はケージを持ち上げて、大真面目に言う。
「……それだけじゃ全然わかりません。それに、バイクはどうしたんですか?」
「一度会社に戻ったときに置いてきた」
「え。一回戻ったんですか?」
「ああ。キャサリンが全然見つかりそうになかったから、一回みんなの様子を見にな。そしたらお前の居場所があそこになってたから……」
居場所……もしかして、行動予定を見て心配してきてくれたってこと?
それ以上は言葉を継がない編集長だけど、照れくさそうに顎を撫でる彼を見る限り、その予想は正しい気がする。
そして、私の自意識過剰じゃなければ、バイクを会社に置いてきた理由はもしかして……
昨日乗せてもらった時に、私が怖がったから……?
「……乗りたかったか? 今日も俺の愛車」
黙っている私の顔を、編集長がそう言って覗き込む。
「……ちち違います! あれはもうご遠慮します!」
「そりゃ残念。女子をケツに乗せるのなんてだいぶ久しぶりだったから、結構悪くない気がしてたんだけどな俺は」