極甘上司に愛されてます
寂しい……けど、ここまでしたんだから、ブライダル特集、絶対に成功させよう。
ウチの新聞は毎週火曜日発行で、月曜日にはもうほぼ出来上がっているのだけど、何かあった時のために編集長はあまり外出できない。
だから、最初の取材は火曜のお昼。
まずは結婚披露宴に欠かせない華やかな食事の“秋限定メニュー”を取材させてもらうんだとか。
会社でその話をしたときに、『経費でうまい飯食えると思って、気楽に行けばいい』……なんて編集長は言っていたけど、そんな心構えで行くことなんてできない。
「気合入れてこ」
昼よりは少し気温の下がった外の空気に触れていたからか、渡部くんと過ごした時間の甘い余韻は薄れて、自然と気持ちが切り替わった。
「……っくしゅん!」
っていうか、部屋着の半袖Tシャツじゃちょっと寒い。まだ九月なのにな。
と、そんなことより体調崩したら元も子もない……!
私は腕をさすりながら階段を上がり、慌てて部屋に戻るのだった。