極甘上司に愛されてます


触れられている肩の辺りからじわじわと顔の方に熱が集中していくのを感じていると、ふいに大きな音で鳴る鐘の音が聞こえた。

こんなに近くから聞こえるということは、このチャペルの鐘だろうか。

おそらく時報かなにかなんだろうけど、二人きりでこんな神聖な場所で向き合っていると、特別な音色に聞こえてきちゃう……

私がその雰囲気に呑まれそうになっていると、編集長はそれに拍車をかける一言を口にした。


「……お前のこと、一生幸せにする」


真剣な眼差し。優しい声色。

一生幸せに……だなんて。なんだか、本物の結婚式を体験しているみたい。


「編集、長……」


私がそう呟くと、少し首を傾げた彼の顔が近づいてきて、肩をつかむ手にぎゅっと力が入った。

そっか……誓いのキス……

私たち、これで夫婦に……

って、えぇ!?

一瞬閉じかけた瞳をカッと見開くと、「ふっ」と笑った編集長の息が顔にかかった。

そして彼は何事もなかったかのように私から距離を取ると、腕組みをしながらこう言った。


「……少しはわかったか? 花嫁の気持ち」


未だドキドキとうるさく鳴る心臓をなだめながら、私はその言葉の意味を必死で考える。

花嫁の気持ち……あ、そっか。
私が記事を作るときにイメージ膨らませやすいように?

いや……それにしたって今のはちょっと!


「よ、予告もなく接近しないで下さい!」


目的を聞かなきゃ何事かと思います……!


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