極甘上司に愛されてます
そのままなかなか寝付けないでいると、さっき聞こえたバイクの音が近づいてきて、すぐ近くで止まったようだった。
ご近所さんでバイク乗ってる人いたっけ。あ、郵便屋さん? にしてはずいぶん遅い時間だけど……
――ピンポーン。
そのときちょうど鳴り響いたのは、私の部屋のチャイム。
もしかして、うちに郵便物……?
ベッドからのっそり起き上がって玄関までよろよろと歩いた私は、扉の向こうに居るのが郵便局の職員だと疑わずにガチャリとそこを開いた。
「ご苦労さまで――――」
「よぉ。具合はどうだ?」
今朝会社で見た、ネイビーのストライプ柄ネクタイ。
それがまたしても目の前に現れて、私は一瞬口を開けて固まった。
どうして、彼がここに……
「編集長……?」
「自分の上司の顔くらい見りゃわかるだろ。で、体の調子はどうなんだ」
……もしかして、心配してきてくれたのかな。
優しい編集長ならあり得る……
「あ、ええと……ただの風邪なので大したことないです」
「そうか。……にしては顔赤いな」
途端に近づいてきた編集長の大きな手が、私のおでこに触れた。
ドキ、と心臓が小さく音を立て、さらに熱が上がってきたような感覚がする。
なんか、最近の編集長、距離近い……
でもこれは体の熱さを測ってるだけだし、と自分に言い聞かせていると、やがてその手は離れて行った。