極甘上司に愛されてます
「あのねぇ……そんなことより、今夜何があるのかそれを先に言いなさい」
「……やっぱりやめた。彼氏持ち状態のお姉ちゃんが来てくれるとは思えないもん」
「だから、何によ」
「合コン」
投げやりな調子でそう言った佳子。
合コンか……それは確かに彼氏持ちの身で参加するわけにはいかない。
だいいち、ああいうお酒の席でいきなり意気投合して付き合うとか理解できなくて、大学の頃も苦手だったんだよね、合コン。
「……人数が足りないの?」
「だから誘ってるんじゃん。長い連休のせいか友達はみんな旅行とかデートとかで捕まらなくて……だからお姉ちゃんが頼みの綱だったのになー……」
……そういうことか。
悔しがる佳子を見ていると、ちょっと申し訳なくなってくる。
「ゴメン……うちに泊まるのはいいけど、私は行かない。そもそも、佳子の友達とは歳も違うんだから相手だって私が来たら困るでしょ」
「ううん、今回はすっごい年上の人たちとセッティングできたみたいだから、二個違うくらい大したことないよ」
「年上ってどれくらい?」
「三十代かな。もう大学の奴らはコドモすぎてつまんないっていうかさ。優しくて包容力のある男の人と出会いたいのよ私は」
……子ども過ぎるねぇ。佳子だって私から見たらいつまでも幼い妹に見えているけど、それを言ったら怒るだろうから黙っていよう。
それにしても、大学時代の自分にとっては、三十代の男の人なんてけっこうなオジサンのイメージがあったけど、佳子は違うんだな。
私は社会人になってみて初めて、職場にいる男性の三十代特有の素敵さというか、ある程度余裕と遊び心があって、けれど仕事も精力的にこなすその姿をいいなぁと思うようになった。
たとえばそう……やっぱり、いちばん身近なのは……自分の上司。
で、でも、あの人の本当の姿は部下をからかって遊ぶ大人気ない悪がきだから、今は別に素敵とか思わないけどね。