極甘上司に愛されてます
「……なんか、すいません。ご期待に添えなくて」
最近の私は、役に立つどころか編集長に迷惑を掛けてばかりだ。
お酒のせいもあるのか、なんだかすごく申し訳ない気持ちになって、私はその場で頭を下げる。
「お前はいちいち気にしすぎなんだよ。……つーかさ、それより別のことでちょっとお前に説教あんだけど」
「え?」
わ、私、何かまずいことした……?
会社休んでる間に、何かのミスが発覚したのかな……
「ここじゃ言いにくいから、ちょっと部屋出ろ」
「わかりました……」
何だろう。何やっちゃったんだろう。ハラハラしながら編集長の大きな背中に続いて個室を出る。
幸い私たちの退出を特に気にしている人はいなくて、残った六人はそのまま楽しそうに会話を続けていた。
暖色系のダウンライトが控えめに設置された薄暗い通路で編集長と向き合うと、彼は腕組みをしながら私にこう言った。
「……お前、彼氏いるくせになんでこんなとこ来てんだよ」
「へ……?」
質問の内容が予想外すぎて、思わず間抜けな声が出た。
お説教って、てっきり仕事のことかと思ってたけど……
「……まさか別れたのか?」
「い、いえ! だって宣言通り連絡は取ってないですから。今日は、妹に無理矢理連れ出されて……」