俺様富豪と甘く危険な恋

カーチェイスの作戦

車は再び海底トンネルを走る。この時間帯は道路は混雑している。

混雑しているせいなのか、いつしか栞南はダニエルの運転するベンツやボディーガードたちの車を見失った。


「ダニエルさんたちの車、見失いましたよ? 大丈夫なんですか?」

「どこかにいるから問題ない」


蓮は栞南の不安が手に取るように分かった。

横を向くと栞南の不安そうな瞳が揺れている。蓮は片手を離して、無意識に栞南の頬に触れる。


トクン……。


栞南の鼓動が大きく、甘く鳴った。


「リラックスしてろよ」


蓮はすぐに前を向いて運転に集中してしまった。


(どうしよう……)


蓮にとって意味のない動作なのかもしれない。でも栞南は蓮を想う心を制御できなくなっている。

初めて強く相手を想う心。孝太郎にはなかった感情だ。

栞南は気持ちを静めようと、窓の外の車の流れに視線を移した。

車はタワーマンションへ向かっているようだ。中環のビル群を抜け出し、所々にマンションが建つ、くねったカーブ道を走っている。


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