俺様富豪と甘く危険な恋
(車を降りたらどうなちゃうの?)


その時、突然前方に白い車が現れた。こちらに向かってきて、このままではぶつかってしまう。

右側のフェンスの向こうは崖だ。


「きゃーっ!」

「目をつぶってろ!」


(言われなくても目なんて開けていられない)


栞南はぎゅっと目を閉じると、自分の身体にググッと遠心力がかかる。シートベルトがきつく栞南の身体を締め付ける。


(崖から落ちちゃう!)


タイヤのキキキーッとブレーキ音がして、どうやらポルシェはスピンしてガクンと止まった。


「っはぁ……」


どうやら崖から落ちなかったと分かり、深く吐息が漏れる。


「大丈夫か?」


蓮の手が乱れた栞南の髪に触れ、よく見ようとかき上げる。


「どうなって――きゃーっ!」

事態を把握しようと顔を上げた栞南の口から悲鳴が上がる。

ヘッドライトが男たちの姿を浮かび上がらせていた。

ポルシェの回りに数人の男たちがいる。手にバッドや拳銃を持っている。

栞南は恐怖に震えながらも、ひとりの男が認識できた。

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