俺様富豪と甘く危険な恋
「もう大丈夫だ。警察が来た。安心しろ」


本田たち一行は武器を持っているものの、香港警察のパトカー6台が前後を塞ぎ、ヘリコプターからライフルで彼らを狙う警官もいて、さほど抵抗せずに捕まった。

手錠をかけられ警察車両に犯人たちが乗り込むのを、車の中から遠巻きにひとり栞南は見ていた。まだ怖くて外に出られない。

蓮の姿を探すと、彼は警察の上層部らしき男性と話をしている。

ダニエルやトニーの姿も窓越しに見えるが、腰に根が生えたように動けない。

落ち着かなく待っていると、いきなり助手席側のドアが開いて蓮が顔を覗かせた。


「大丈夫か? 本田があの中にいるか確認して欲しい。お前の確認も必要なんだ」

「……行きます」


確認しなくちゃならないのならと、栞南は車から降りた。

降りるとまだ震えが止まらない足に力が入らずよろける。

すかさず蓮の腕に支えられ、栞南はゆっくり本田が乗っているパトカーに近づいた。

警官に挟まれて座っている本田は栞南が近づくと、目と目が合い鋭い目つきで睨まれる。




< 104 / 369 >

この作品をシェア

pagetop