俺様富豪と甘く危険な恋
突然の拉致
「それじゃあ栞南、気をつけて帰ってね」
「うん。またね」
「日本へ戻ったら連絡するわ。大事に持っててよ。絶対に失くさないでね! あ、日本の税関検査で預かったものがあるって申告しないように。没収されちゃうかもしれないから。じゃあね。バイバイ」
「えっ!?」
彩の言葉にギョッとなって聞き返そうとすると、彼女はすでに建物の出口に向かっていた。
スリムなジーンズで細い足を際立たせて去っていく彩の後姿にガクッとため息が漏れる。
(大丈夫なのかな……)
引き受けなければ良かったのかもと後悔しながら、栞南は航空会社のカウンターに向かった。
パスポートと予約確認書を係りの女性に見せて、スーツケースを預け終えた。
空港に向かうエアポートエキスプレスに乗る前にお手洗いに行っておこうとレストルームを探す。
「あった!」
栞南は建物の隅にあるレストルームに入り、バッグからルージュを取り出すと薄く塗る。
昼食に食べた飲茶の辛いたれが唇について少しヒリヒリしており、ルージュで嫌な感じを誤魔化した。こういう場合はメンタームリップがいいのだが、あいにく持っていなかった。
「うん。またね」
「日本へ戻ったら連絡するわ。大事に持っててよ。絶対に失くさないでね! あ、日本の税関検査で預かったものがあるって申告しないように。没収されちゃうかもしれないから。じゃあね。バイバイ」
「えっ!?」
彩の言葉にギョッとなって聞き返そうとすると、彼女はすでに建物の出口に向かっていた。
スリムなジーンズで細い足を際立たせて去っていく彩の後姿にガクッとため息が漏れる。
(大丈夫なのかな……)
引き受けなければ良かったのかもと後悔しながら、栞南は航空会社のカウンターに向かった。
パスポートと予約確認書を係りの女性に見せて、スーツケースを預け終えた。
空港に向かうエアポートエキスプレスに乗る前にお手洗いに行っておこうとレストルームを探す。
「あった!」
栞南は建物の隅にあるレストルームに入り、バッグからルージュを取り出すと薄く塗る。
昼食に食べた飲茶の辛いたれが唇について少しヒリヒリしており、ルージュで嫌な感じを誤魔化した。こういう場合はメンタームリップがいいのだが、あいにく持っていなかった。