俺様富豪と甘く危険な恋
しあわせな時間
着替え終わった栞南はおそるおそる部屋を出た。
恥ずかしがらずにと言われても、いつものように振る舞うことなんて出来ない。
ダニエルが近づいてくるのを見て「お、おはようございます」と、どもってしまう。その途端、蓮の笑い声が聞こえてくる。
「早く席に座れよ」
少し気づまりな空気の中、朝食を食べ始めた。
「――今なんて言ったんですか? 私の聞き間違いじゃないですよね?」
「ああ。食事が済んだら観光客が来ないうちに、天后廟(ティンハウミュウ)へ行こうと言ったんだ」
天后廟(ティンハウミュウ)とはここの窓から見えるレパルスベイの有名な観光地で、ここへ来てから栞南はずっと行ってみたいと思っていたところだ。
事件が解決したわけではないが、本田が逮捕されたことにより、裏にいる主犯格が明らかにされるのを現在は待っている状態だ。
まだ口を割っていないらしいのだが。
(主犯格はおそらく用心していることだろう)
用心に用心を重ねれば、外出も大丈夫だと蓮は考えた。なにより栞南の喜ぶ顔が見たかった。
「でも……」
栞南はまだ安全じゃないのに、と躊躇する。
恥ずかしがらずにと言われても、いつものように振る舞うことなんて出来ない。
ダニエルが近づいてくるのを見て「お、おはようございます」と、どもってしまう。その途端、蓮の笑い声が聞こえてくる。
「早く席に座れよ」
少し気づまりな空気の中、朝食を食べ始めた。
「――今なんて言ったんですか? 私の聞き間違いじゃないですよね?」
「ああ。食事が済んだら観光客が来ないうちに、天后廟(ティンハウミュウ)へ行こうと言ったんだ」
天后廟(ティンハウミュウ)とはここの窓から見えるレパルスベイの有名な観光地で、ここへ来てから栞南はずっと行ってみたいと思っていたところだ。
事件が解決したわけではないが、本田が逮捕されたことにより、裏にいる主犯格が明らかにされるのを現在は待っている状態だ。
まだ口を割っていないらしいのだが。
(主犯格はおそらく用心していることだろう)
用心に用心を重ねれば、外出も大丈夫だと蓮は考えた。なにより栞南の喜ぶ顔が見たかった。
「でも……」
栞南はまだ安全じゃないのに、と躊躇する。