俺様富豪と甘く危険な恋
「昨日4人が逮捕されたばかりだ。犯人もさすがに警戒しているはずだろう」

「そうですよね。私、行きたいです」


毎日この窓から下を見て、行きたいと思っていた。この機会を逃す手はないだろう。すぐそこなのに遠く感じていた。




街中ではさほど目立たないボディーガードたちの黒スーツ姿も、小さな観光地では目立ってしまう。

彼らは目立たないように、カジュアルな私服に着替えていた。

タワーマンションの下へ降りて、道路を渡り海側の遊歩道に出る。栞南は蓮と並んで歩き、トニーたちはつかず離れずで、なにかあったらすぐに対処できる距離を歩いていた。

目の前に見えるのはレパルスベイビーチ。夏は人気のビーチリゾートらしい。

自分は観光バスから降りた観光客にみえるのではないかと、栞南は歩きながらそんなことを考えている。

今日とても気分がいいのは、隣を歩く危険な香りを漂わせる男のせい。

スーツ以外のラフな格好の蓮を栞南は初めて見る。

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