俺様富豪と甘く危険な恋
意識のない栞南は男に抱きあげられる。

栞南に名前を確認した男は、ポケットから携帯電話を取り出すと、どこかへかけた。

「レン様、確保しました」

『尾行に気をつけろよ。ダニエル』

「はい。すぐに連れて行きます」


ダニエルは電話を切ると、男たちに目で合図をしてレストルームから出た。






「うう……ん……」

栞南はベッドサイドのランプだけが点いた薄暗い部屋のベッドの上で目を覚ました。パチッと目を開けた途端、拉致された時のことを思い出し、乱暴にベッドの上に起き上がる。


「こ、ここはっ！？」


目を凝らして部屋をぐるりと見ると、一人掛けのソファに座っている男に気づく。ベッドサイドのランプの灯りはそこまで届かず、男の顔が見えない。

栞南は本能的にその男から離れようと、ベッドの反対側に下りた。


「わ、私に何の用なの……っ！」


金切り声に近い声で叫んでいた。

着ている服に乱れたところはなく安堵する。しかし、何の目的で自分が拉致されたのかまったく分からず栞南の顔はひきつったまま。

男の様子がわかるのは分かるのは長い脚を優雅に組んでいるところと、身長が高そうだと言うことだ。




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