俺様富豪と甘く危険な恋
「キスマークばかりダナ。オレたちのマエでイチャイチャしやがって」

栞南の上半身を舐めるように見た男は馬鹿にしたように言い、ジーンズのボタンにかけた。


「イヤっ! やめて!!」


栞南は足をバタつかせながら反撃できるものがなにかないかと手を頭上の方へ動かす。

必死に動かした手が対のスタンドライトに触れた。

スタンドライトの柄を持つと、無我夢中にそれを男の頭へ振り下ろした。

スタンドの電球のガラス破片が男の後頭部に降りかかる。栞南の顔や身体にもガラスの破片が降りかかり頬に痛みを感じた。


「ぐっ!」


男はうめき声を上げ、栞南を押さえる力が緩む。

その隙に栞南は男から逃れ、玄関に向かって走る。やっとのことで玄関に着いたが、追ってきた男に腕をつかまれ後ろに引っ張られ床に転がる。


「きゃっ!」


このまま部屋へ連れ戻されたくなくて、栞南は重厚なサイドテーブルの脚をつかみ抵抗をする。


「テをハナセ!」


男に足で腕を何度も蹴られ、痛みに息を呑む。

この男から逃げられずレイプされてしまうのだろうか。

腕の痛みに手がサイドテーブルの脚から離れたそのとき、玄関のドアが開いた。

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