俺様富豪と甘く危険な恋
「それは待ちに待っていた2月2日にロンドンで行われるオークションの招待状ですね」

「ああ」


この日、このオークションでは1910年頃の見事な細工がされたサファイアのネックレスが出品される。

蓮は2年ほど前からこのネックレスに注目しており、これを所持していたイギリスの企業が売りに出すと情報を得ていた。

他にも気になるアンティークジュエリーが数点ある。

イギリスへ近いうち飛ぶつもりでいた蓮だが、今回の事件に栞南を巻き込んでしまい決めかねていた。

今月末にイギリスに飛ばなくてはならないとなると、あと1週間しかない。

捕まった本田はようやく黒幕にいる人物を吐いた。1週間で黒幕であるジャスティン・ラウなるイギリス系中国人を捕まえることができるのか。

男は日本を出国し中国へ入りその後の消息がつかめていなかった。

香港と中国は陸続き。指名手配中だが、パスポートを偽造し香港へ入国しているかもしれない。


「ダニエル、栞南の分のチケットも用意しておいてくれ」

「わかりました」


事件が終わらなければ、香港に置いておくことも出来ず、日本へ帰国させて心配で仕事に身が入らないだろう。

目の届くところにいてほしい。そう思わずにはいられない蓮だった。


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