俺様富豪と甘く危険な恋
部屋を出ると、ちょうどリビングに姿を見せた蓮が近づいてくる。


「栞南、すまない。早く帰りたかったんだが」

「ううん……お食事は？」


栞南の作った料理はまだテーブルの上に乗っている。それを見た蓮は「もちろん食べるよ」と言って席に着く。

冷めてしまった肉じゃがやひじきの煮物、味噌汁を栞南はもう一度温めながら、せっかく作った料理を蓮に食べてもらえると笑顔だった。


「どうぞ……お口に合うかわからないけど……」

「美味しそうだ。いただきます」


蓮は箸を持つと、リクエストしただし巻き卵に手を伸ばした。


「この味だよ。美味しい」

「よかった。私はどちらかというと甘い卵焼きを作るんです。だから美味しくできなかったらどうしようと」

「甘い卵焼き？」


蓮は知らないようで首を傾けて栞南を見る。


「はい。お砂糖と隠し味にほんの少しお塩を入れて同じように焼くんです」

「デザートみたいだな。それも食べてみたい」

「近いうちに作りますね」


蓮に言われると、なんでしてあげたくなる。栞南はうれしそうに笑った。


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