俺様富豪と甘く危険な恋

朝日奈さんの……

「ダニエルさん、朝日奈さんは本当に頭痛ですか?」

「そうです。ただの頭痛ですから気になさらずに」


ダニエルの淡々とした答えに聞く気がそがれ、栞南は小さく頷くと自室へ向かう。


(ああ言うのだから本当に頭痛なんだよね? 他に何があるっていうの?)


栞南は自分に言い聞かせベッドに座る。でもベッドに入ったあとも蓮が気になって仕方ない栞南だ。

なかなか寝付けずに寝返りを何度も打つ。

かれこれ2時間近く眠れない時間が過ぎている。

蓮が心配で眠れない栞南はベッドを抜け出した。こっそり蓮の様子を見るつもりで。

そっとドアを開けて蓮の寝室の前に立つ。

蓮の寝室のドアノブに手をかけようとしたとき、ドアが突然開いた。


「きゃっ!」

「ミズノさん!?」


ダニエルは突っ立っている栞南に驚く。だが、栞南もこんな時間に蓮の部屋から出てきたダニエルに驚いている。

ダニエルの手に濡れタオルが握られていた。


「熱があるんですか!?」


栞南ははじかれたように蓮の寝室に入った。そこで栞南が目にしたのは腹部に包帯を巻いた蓮の姿だった。

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