俺様富豪と甘く危険な恋
起き上がりパジャマの袖に腕を通しているところで、入ってきた栞南を見て切れ長の目が若干大きくなった。


「栞南……」


蓮はさっと前身ごろを合わせ、ボタンを留めようとする。栞南はベッドに近づきボタンを留めようとしているパジャマを開いた。


「これはどうしたんですかっ!?」


真新しい包帯は一昨日にはなかった。今朝も普通だった。会社へ行ってから何かあったのだろう。


「ぶつけただけだ」


静かな蓮の言葉を無視して、額に触れる。


「ぶつけただけで熱も出るんですか?」

「これと熱は関係ない。俺は大丈夫だからもう寝ろよ」


こんな状態なのになにも話してくれなかった蓮に栞南はショックを受けていた。


「私は……朝日奈さんのなんですか? こんなにあなたが苦しんでいても何も知らされず、看病も出来ないだなんてっ!」


熱がある蓮にこんなことを今言うべきではないと思っても、言ってしまっていた。


「栞南、そうじゃないんだ」


栞南は今にもこぼれそうなくらい目に涙を溜めていた。


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