俺様富豪と甘く危険な恋
「ゆっくり寝てください」


静かに言った栞南は寝室を出て行こうとドアに向かう。


「栞南！　待てよ！」


蓮は追おうと身体を動かすと脇腹が激痛に襲われる。


「っう……」


痛みを逃そうと呼吸を止めてゆっくり吐き出す蓮のこめかみから冷や汗が浮かぶ。


「彼女に心配をかけまいとしてしたことが裏目に出てしまいましたね」


栞南とすれ違ったダニエルはやれやれと首を振る。


「最初から話せばよかったんですよ。レンさまを心配する資格は彼女に十分ありますから」


何とか痛みをやり過ごし、ベッドから足を下ろそうとしている蓮をダニエルが止める。


「私が行ってきますから。寝ててください」

「お前、寝られるわけないだろ」

「いいえ」


ダニエルはにっこりほほ笑むと、蓮の傷口を軽くポンと触れた。


「うっ！」


再び激痛に襲われて蓮はシーツの上に倒れこむ。その間にダニエルは寝室を出て行った。

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