俺様富豪と甘く危険な恋
「さっきのお前の言ったことだが……」


『私は……朝日奈さんのなんですか? こんなにあなたが苦しんでいても何も知らされず、看病も出来ないだなんてっ!』


栞南が思わず言ってしまった言葉。


「いいんです。私は今のままでいいです」


(事件が解決したらさようならの関係で……彼の心は私のものにはならない)


「今のままって、どういうことだ?」


蓮は栞南が座るベッドの隣に静かに腰を下ろすと、むすっと聞いてくる。


「か、身体だけの関係です……」

「は? 俺と寝るまでバージンだった女がよく言うな。お前は娼婦じゃない。自分を貶めるようなことは言うな」


意地をはる栞南が蓮にはかわいいが、顔はいたって真顔だ。


「わかってくれないか? 心配をかけたくなかったんだ」

「私は心配させてほしいです。朝日奈さんが苦しんでいるのに私だけ蚊帳の外だなんで……悲しいです。その傷はあの……もしかしてジャスティン・ラウに?」

「いや、違う。これは……栞南を襲ったリーにやられたんだ」

「あの男に!」


栞南はあの男の顔を思い出して眉間にしわがぎゅっと寄る。


< 158 / 369 >

この作品をシェア

pagetop