俺様富豪と甘く危険な恋
「ああ。ああいうのを火事場の馬鹿力って言うんだな」
栞南の聞き間違いなのか、楽しげな声に聞こえ思わず後ろを振り返り仰ぎ見る。長い指で顎を軽く擦っている男。
次の瞬間、栞南は目を丸くさせ「あっ!」と驚きの声が漏れた。
後ろに立っていたのは香港初日、リッツ・カールトンのバーで金髪男性から助けてくれた男だった。
栞南の背筋をゾクリとさせる色気のある男。
栞南を見下ろす瞳は危険を孕んだ黒曜石のように研ぎ澄まされていて鋭い。
スラリとした肢体に高級そうなスーツを着こなした男の年齢は20代後半と若そうだが、堂々としすぎて年齢不詳だ。
その男に栞南の吐き気は一瞬にして消え去った。
「ダニエル、ルームサービスを頼んだ。注意を払ってくれ」
「かしこまりました」
栞南を拉致した浅黒い男はダニエルと言うらしい。そして、ここで一番の権限がある男はレン様と呼ばれている。
ダニエルは部屋にいる男たちに小さく頷くと、彼らは部屋を出て行った。
蓮は絨毯の上にペタンと座り込んでいる栞南の両腕を掴むと、立ち上がらせソファに座らせた。
栞南の聞き間違いなのか、楽しげな声に聞こえ思わず後ろを振り返り仰ぎ見る。長い指で顎を軽く擦っている男。
次の瞬間、栞南は目を丸くさせ「あっ!」と驚きの声が漏れた。
後ろに立っていたのは香港初日、リッツ・カールトンのバーで金髪男性から助けてくれた男だった。
栞南の背筋をゾクリとさせる色気のある男。
栞南を見下ろす瞳は危険を孕んだ黒曜石のように研ぎ澄まされていて鋭い。
スラリとした肢体に高級そうなスーツを着こなした男の年齢は20代後半と若そうだが、堂々としすぎて年齢不詳だ。
その男に栞南の吐き気は一瞬にして消え去った。
「ダニエル、ルームサービスを頼んだ。注意を払ってくれ」
「かしこまりました」
栞南を拉致した浅黒い男はダニエルと言うらしい。そして、ここで一番の権限がある男はレン様と呼ばれている。
ダニエルは部屋にいる男たちに小さく頷くと、彼らは部屋を出て行った。
蓮は絨毯の上にペタンと座り込んでいる栞南の両腕を掴むと、立ち上がらせソファに座らせた。